バカダミアンさんの『な・ま・は・げ ポポポポ~ン』を観て来ました。
俳優さんはみな芸達者で、体もよく使っていた。 (違うのかもしれないけど比較対照がないので)80年代の遊ぶ演劇の感覚かな。 久しぶりにおバカ全開な芝居。 途中、放射能という言葉が出てきて、やっぱり体が強張る。 話自体も明らかに原子力発電所らしきモノが出てきて、それが暴走して 放射能が撒き散らされ、それによって体が人間以外の何かに変容していく という流れもあった。 この辺から90分くらいの芝居が3時間くらいに思えてくる。 遊ぶ演劇風なのに言葉が重いので、それを消化することが出来なくて苦しい。 そしてマイケルらしき人物と、彼のPVをコピーしたダンスシーン。 スリラー ビート・イット スムーズ・クリミナル ヒール・ザ・ワールド 曲の内容やらタイトルやらを物語世界とリンクさせてるのかな スムーズ・クリミナルとか、すみやかなる犯罪者とかって意味だし その後に続くヒール・ザ・ワールドとかそのままだし。 観劇後どうにも違和感が抜けなくて飯を食いながら ずっと違和感の正体を探っていた まずやっぱり放射能という言葉。 この時期の公演ということで製作されたのは先の震災後だろう。 それを舞台に乗っける。おバカな内容で乗っける。 それは良し。どう描くも創作の自由だ。 遊ぶ演劇風の演技。 それも俳優は一見すると下手に見えるような芝居をする 身振り手振りを大きく、オーバーに、余計な芝居全開。 そしてその芝居が体に染み付いていないことが明快。無理がある演技。 稽古服で素舞台だったことから、多分なんかの芝居を稽古中の劇団。 多分ちょっと下手っぴな地方劇団、というような設定があるんだろう。 しかしどう理屈で分析しようとしても、放射能という台詞がツライ。 ちょっと怒りさえ感じてしまう。 それは俺自身の問題だ。 震災後、被災地から遙か遠くにいる僕らは、 かなり大きな精神的打撃を受けて来たと思う。 もちろんそれは当事者の方々とは比べられないモノだけど、 それとは違うベクトルの打撃を受けていると思う。 それは何も出来ない無力感とか、被害の甚大さを毎日見続けることの重さとか、 溜め込んだ感情を他人と共有出来ないことで溜め込むばかりの感情とか。 その感情が今俺の中でちょっと溢れそうな時になっていて その中で見てしまったおバカで語られる放射能の話が辛かった。 こういう言葉が出て来ることは製作者も承知のことだろう。 震災後、それ以前に製作した芝居が意図せずに違う意味を持ってしまったことは よく聞いた。 しかし今回は明らかに確信犯。今を狙って描いている。 でも今の俺にはそれをどう包むなり剥がすなりしても それを楽しめる許容量はありません。 震災と原発は別問題だと解っていますが、 残酷な現実が聞こえてくる今、それを楽しむことは出来ません。 とっても悲しい気持ちになってしまった観劇でした。 散文をお許し下さい。
by rawworks
| 2011-07-04 23:06
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