人気ブログランキング | 話題のタグを見る
長崎曼荼羅
長崎曼荼羅_e0149261_23121747.jpg




東松照明氏のことを知ったのは、ある作家さんの書籍だった。

その人の本に何度も登場する東松氏に興味が湧いて
氏の本を探していたら、この本と出会った。


調べてみたら東松氏は、1961年に原水爆禁止日本協議会からの依頼で
『Hiroshima-Nagasaki Document 1961』という
原爆に関する写真集を制作したことがきっかけで、その後も度々長崎を訪れ、
1998年には、長崎に移住してしまった方だった。

ご近所にいらっしゃったとは・・・知らなかった自分が恥ずかしい限りです。


この本は、東松氏の写真や、被爆者の方との交流の書記、そして色んな作家さんによる
氏の批評をまとめたような構成になっています。

被爆者の方の言葉は、今僕が見ても痛みに満ちていて
とてもじゃないですが、どんどん読み進めることが出来ませんでした。

長崎公演が終わってすぐに読み始めましたが、
読み終えたのは、東京公演に発つ前日でした。

新装した原爆資料館にも足を運んでいましたし、
今までも本などでそれなりに被爆体験を聞いたような気でいましたが、
僕自身が年を取ったせいなのか、この本で語られる語り部の言葉は、
余りにも痛いものでした。


そして東松氏の写真。

その凄さもまた衝撃でした。

東松氏の写真は、何も語ろうとしていないのです。
作為というモノが全く感じられないのにその写真は、何といったらよいのか
解りませんが・・・とても良い雰囲気も持っているんです。

勿論、(良い雰囲気)などと言えないくらいに
重く圧倒的な現実を突きつけてくるような写真もあります。

でもその全てが、ありのまま。
陳腐な演出が一切ないのです。
(厳密には光や構図など全ては計算されているのですが)



幸運にも、今年の10月から長崎で、
『東松照明展-色相と肌触り 長崎-』が開催されるという。

東松氏が見てきた40年間の長崎について、
少しでも話を聞ければ良いな、と密かに思っています。
by rawworks | 2009-08-16 23:54 | X2
<< 今日の散歩 街で出会った彼女 >>



RAWWORKSの川内清通です。長崎を拠点に活動する劇団F's Company所属。 rawworks.kawachi@ gmail.com
by rawworks